ChatGPTやClaudeなどの生成AIを会社で使うとき、「機密情報を入れない」だけではルールとして不十分だ。利用を認めるサービス、入力禁止情報、外部連携、成果物の確認者、事故時の連絡先まで決める必要がある。
本記事では、専門部署のない中小企業でも調整して使える社内ルール例、情報区分表、権限設定、事故対応フローをまとめる。
最終更新日:2026年7月11日。実際の規程へ使う際は、自社の契約、業界ルール、個人情報や営業秘密の扱いに合わせて修正してほしい。
最初に決めること
- 会社が認めるAIサービスとプラン
- 入力禁止情報と匿名化が必要な情報
- メール・ファイル・業務システム連携の申請方法
- 公開・送信・実行前に確認する担当者
- 誤送信や漏えいが疑われたときの連絡先
そのまま調整できる社内ルール例
- 業務では、会社が指定した生成AIサービスと会社管理の個別アカウントを使用する。
- パスワード、APIキー、秘密鍵、復旧コードを入力しない。
- 顧客・従業員の個人情報、未公開契約、見積書、営業秘密は原則入力しない。必要な場合は責任者の承認と匿名化を行う。
- メール、クラウドストレージ、CRMなどとの連携は管理者の許可を得る。
- AIが作った文章、数字、画像、コードは、公開・提出・実行前に人が確認する。
- 外部送信、公開、削除、購入、契約変更は原則として人が承認する。
- 誤送信や漏えいが疑われた場合は作業を止め、履歴を消さずに責任者へ連絡する。
- 異動・退職時はアカウント、接続アプリ、共有物、APIキーを停止・引き継ぐ。
入力情報を4段階に分ける
| 区分 | 例 | 入力方針 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 公開情報 | 公開Web、商品説明、公開統計 | 原則可 | 出典と更新日を確認 |
| 社内情報 | 一般手順書、社内テンプレート | 指定した法人環境のみ | 保存・学習利用・権限を確認 |
| 機密・個人情報 | 顧客名、従業員情報、未公開契約 | 原則禁止 | 必要なら承認・匿名化・契約確認 |
| 認証・秘密情報 | パスワード、APIキー、秘密鍵 | 入力禁止 | 漏えい時は直ちに無効化・再発行 |
権限は「読む・作る・変える・送る」で分ける
| 操作 | 試行時 | 本番後 |
|---|---|---|
| 公開情報の検索 | 許可 | 許可、出典確認 |
| 社内文書の読み取り | 限定フォルダのみ | 役割別の最小権限 |
| 文書・メールの下書き | 許可、人が確認 | 定型業務のみ条件付き許可 |
| 外部送信・公開 | 自動実行しない | 承認を必須にする |
| 購入・削除・契約変更 | 禁止 | 原則として人が実行 |
事故が疑われたときの5段階
1. 送信・実行を停止 → 2. ログと画面を保存 → 3. 接続・アカウント・キーを遮断 → 4. 対象情報と影響範囲を確認 → 5. 社内外の必要先へ報告
慌てて会話履歴を削除すると、原因や影響範囲を確認できなくなる場合がある。まず追加の送信を止め、記録を保全する。パスワードやAPIキーを入力した場合は、履歴削除だけでなく無効化と再発行が必要だ。
ルールを形だけにしない運用
運用できるルール
- 具体例がある
- 相談先が分かる
- 例外申請ができる
- 四半期ごとに見直す
形だけになりやすいルール
- 「機密禁止」だけ
- 全サービスを一律禁止
- 責任者が不明
- 違反時の報告先がない